「なんとなく、いつもと違う気がする」
「痛みはないけれど、動作がしっくりこない」
練習中や日常生活で、そんな小さな違和感を感じたことはありませんか?
多くの方は「まだ動けるから大丈夫」と放置してしまいます。
しかし、現役の鍼灸師・整体師として多くの身体を見てきた経験から断言できるのは、大きな怪我の前には必ず「違和感」が出ています。
その予兆を放置してしまった結果、みなさん後悔しながら治療院にいらっしゃいます。
今回は、怪我を防ぎ、最高のパフォーマンスを維持するために知っておくべき「体のサイン」とその正体について、長年様々なスポーツをしている方やダンサーの施術をしている、現役鍼灸師・整体師が解説します。
1. なぜ「違和感」が怪我の最大の前兆なのか?
例えるなら、「痛み」は体が発するレッドカード。
それに対して「違和感」は、イエローカードに例えるとわかりやすいと思います。
スポーツバイオメカニクスの視点で見ると、違和感がある状態では、ほとんどの場合、体の一部で「代償動作(だいしょうどうさ)」が起きています。
代償動作とは、どこか一箇所の動きが悪い分を、他の筋肉や関節が無理にカバーすることをいいます。
代償動作を繰り返すと、無理を強いられた場所に負担がかかり、歪みが起きたり、ある日突然、肉離れや関節の炎症として痛みが出てしまいます。
動けるからOK、ではなく、正しく動けているかが怪我の予防ではとても大切です。
2. プロが教える「見逃してはいけない」5つのサイン
以下の5項目をチェックしてみてください。
一つでも当てはまれば、体がSOSを発しているかもしれません!
① 左右差がある
・片方の足だけ妙に重い
・片側の肩甲骨だけ動きが硬い
・座っていてどちらかの足を組みたくなる
といった左右の差は、重心のズレや骨盤の歪みなどが生まれている証拠です。
そのまま動くと、片側にだけ過度な負荷がかかり続けてしまいます。
② 関節の可動域が狭まる
・いつもより前屈が届かない
・股関節の開きが悪い
・背中がまっすぐ伸びずに丸まっている感じがする
など、ストレッチの際に感じる詰まり感や動かしにくさは、筋肉の過緊張やコリの証拠です。
③ 朝起きた時の身体のこわばりを感じる
寝起きに体が重く、動き出すのに時間がかかる場合は、血行不良や慢性疲労のサインです。
睡眠の質が悪く、寝ている間に疲労が抜けきっていない証拠です。
④ 動作中の音が聞こえる
関節を動かした時に「ポキポキ」「ミシミシ」と鳴る場合、関節のアライメント(並び)が崩れ、組織同士が不自然に擦れている可能性があります(諸説あり)。
音と痛みが同時に出なければ基本は問題ないですが、過度に繰り返されたりすると、痛みにつながる場合があります。
⑤ 感覚の鈍さがある
・地に足がついていない感じがして、バランスがとりにくい
・指先の感覚がいつもより鈍い
というような症状は、筋肉の緊張や血行不良などによる神経系への圧迫や、脳が疲労して正しいフィードバックができていない状態です。
3. 東洋医学で考える「未病(みびょう)」の重要性
鍼灸の世界には「未病を治す」という言葉があります。
病気や怪我になる手前の段階でケアをすることが、最も良い治療であるという考え方です。
例えば、東洋医学の「五行説」では、筋肉や腱の状態は「肝(かん)」と深く関わっていると考えます。
精神的なストレスや目の疲れが蓄積してしまうと「肝」が乱れ、足がつりやすくなったり、肉離れを起こしやすくなったりする、という考え方です。
(これは、西洋医学でいう肝臓のニュアンスとは少し違います。)
東洋医学の五行説については簡単にこちらでも書いてあります。
初めての東洋医学 〜よく見る5つの丸と臓器の正体〜
「ただの気のせい」で片付けず、気血の流れが滞っているサインだと捉えることが大切です。
4. 違和感を感じた時にすべき3つのアクション
もし「おかしいな」と思ったら、次のステップで対処しましょう。
- セルフケアでリセット
まずはお風呂に浸かって体を温めたり、マッサージなどで血流を良くします。
また、痛くない範囲でゆっくりとした動的ストレッチを行い、左右のバランスを整えましょう。
動的ストレッチについてはこちらも↓
ストレッチでケガが増える?やり方の落とし穴 - 練習の質を見直す
まずは休息が第一です!
休むのが不安な場合は、必ず強度を落としましょう。
(特にダンサーは休むor調整日を作る習慣も身につけましょう!)
無理にそのまま練習してしまうと、結果的に長期離脱をせざるを得なくなってしまいます。 - プロのメンテナンスを受ける
自分では気づけない「動きの癖」や「深部のコリ」は、鍼灸や整体などの専門家に任せるのが一番です。
自分の体と「対話」をしよう
怪我は運ではなく、準備と気づきで防ぐことができます。
あなたの身体は、誰よりも先にあなたにサインを送っています。
その違和感を無視せず、適切なケアを行っていくことが、長く楽しくダンスや競技などの活動を続けるためには、とても大切です。
「いつもと違う…」という直感を信じて、今日から自分の身体をもっと大切にして、一生動ける身体をつくりましょう!