現役の鍼灸師・整体師として治療する中で、「猫背が気になる」という患者さんの声をよく聞きます。
結論から言うと、猫背改善に「肩を回すだけ」では不十分です。
なぜ肩回しだけでは足りないのか、そして本当にアプローチするべき根本的な原因について解説します。
1. なぜ「肩を回すだけ」では猫背が治らないのか?
多くの人が「猫背=巻き肩」だと思い、肩をグルグル回してほぐそうとします。
確かに、猫背になれば巻き肩になりやすく、巻き肩が強くなれば猫背も強く出てしまいやすい、という深い関係があります。
肩を回したり、ストレッチで一時的に血流は良くなりますが、すぐに元に戻ってしまう場合がほとんどです。
これには明確な理由があります。
猫背と巻き肩の違い
猫背
猫背は、単に肩が凝っているわけではありません。
特に胸椎(胸の高さの背骨)が、普通よりも丸く(後弯が強く)なっている状態です。
背骨沿いにある起立筋群がサボり、背中を支えられなくなっています。
猫背は主に背骨、体の縦のラインの問題です。
巻き肩
巻き肩は、肩甲骨が外側に開き、肩関節の位置が体の前にスライドして、その位置で固まってしまっている状態です。
スマホやパソコンなどでの作業が多い方はなりやすいです。
鏡の前でまっすぐ自然に立ち、自分の姿を見た時に、手のひらが太ももに向き、親指、人差し指、中指が見える程度がいい状態です。
手の甲が前を向き、手の指が全て見える人は巻き肩が強い可能性があります。
巻き肩は右肩と左肩の位置、体の横のラインの問題です。
2. 猫背改善のカギは「骨盤」と「胸椎」
猫背は背中だけの問題ではありません。
体はつま先から頭まで繋がっています。
① 骨盤の傾き(土台の崩れ)
土台である骨盤が「後傾(後ろに倒れる)」すると、重い頭を支えるバランスを取るために背中が丸まり、頭やアゴが前に出ます。
そうなると、首の弯曲も少なくなり、首肩の凝りや、どんどんストレートネックに近づいてしまいます。
土台が傾いたまま肩だけ動かしても、姿勢を真っ直ぐに戻すことは難しくなります。
② 胸椎の可動域
背骨の中でも、肋骨がついている胸椎(きょうつい)は、あまり反る動きが出ない場所ではあります。
ですが、本来しなやかに動くべき場所です。
デスクワークなどでここが固まると、いくら肩を回しても、背骨自体の丸まりは解消されません。
3. 自宅でできる、猫背改善のセルフケア
もしあなたが本気で猫背を卒業したいなら、以下のケアもやってみましょう!
① 胸筋のストレッチ
肩を前に引っ張っている、縮めている筋肉を緩める。
手を斜め上の角度で(痛みがある場合は無理せず)挙げ、壁などを使ってストレッチ。
鎖骨の下あたりをさするような感じで、マッサージをしてあげると◎
② 胸椎を反らす運動
丸まった背骨を、反対の反る方に動かす。
仰向けで、肩甲骨の下あたりに、ソファーのクッションや、バスタオルを折り畳んだぐらいの、あまり高くないものを入れ、そのまま1分ほど、できるだけ力を抜きます。
呼吸は止めないように、ゆっくりと深呼吸をしましょう。
③ ドローイン
天然のコルセットと呼ばれる腹横筋(ふくおうきん)に刺激を入れる方法です。
これだけで骨盤の後傾を防げます。
- 仰向けに寝て、両膝を立てます。
- 鼻から息を吸い、お腹を膨らませます。
- 口からゆっくり息を吐きながら、お腹をうすーくしていくイメージでお腹を凹ませます。
- 大体息を吐ききったら、お腹を凹ませたまま、10秒ほどキープ。
- ゆっくりと鼻から息を吸い、繰り返します。
肩に力が入らないように注意して、腰を床に押しつけるような感じで行いましょう。
心臓や血管系の持病がある方や、高血圧の方は、息を止めず、無理のない範囲で行いましょう。
④ キャット&カウ(ドッグ)
背骨の一つ一つを動かし、姿勢を支える背中の筋肉に刺激を入れます。
猫背によくある背骨の柔軟性を上げるのによく行われる運動です。
ヘルニア、狭窄症、側弯のある方は特に、痛みが出るようであればやらずに、無理をしないようにしましょう。
- 四つ這いになります(手は肩の真下、膝は股関節の真下)。
- キャット: 息を吐きながら、おへそを覗き込むように背中を丸めます。肩甲骨を外に広げる意識で。
- カウ: 息を吸いながら、胸を正面に向けるように背中を反らせます。肩甲骨を軽く寄せ、斜め上を見ます。
- これをゆっくり5〜10回繰り返します。
腕の力で動くのではなく、骨盤から動き始めて、最後に頭が動く、という連動性を意識してみてください。
なぜこれが猫背に効くのか?
猫背の人は、外側の大きな筋肉(アウターマッスル)で姿勢を維持しようとしてガチガチに固まっています。
インナーマッスルが機能し始めると、頑張って胸を張らなくても、自然と背筋が伸びている状態を作れるようになります。
筋トレ、と思わずに、エクササイズやストレッチ、ぐらいの感覚でやってみましょう。
4. 現役鍼灸師・整体師が教えるセルフケアの注意点
肩を回すこと自体は悪いことではありませんが、後ろに引く意識を強く持ちすぎないようにしましょう。
「緩める」+「整える(骨盤・脊柱)」+「支える(インナーマッスル)」
が揃って初めて、猫背を根本的に解決していくことができます。
私はよく患者さんに、ピラティスも受けることをお勧めしています。
施術の中で緩めて整えて、ピラティスでインナーを鍛えて体を良い状態で支えていけるようになるからです。
信頼できるピラティスのインストラクターさんは、知り合いにたくさんいらっしゃって、紹介もできますので、質問等あればお気軽にお声掛けください。
あなたの猫背、実は「骨盤」や「足首」が原因かも?
「肩を回しても全然変わらない…」と感じているなら、それはあなたの猫背のタイプにアプローチが合っていない証拠です。
猫背にも、いくつかパターンがあり、プロの目によるチェックが一番の近道です。
猫背を根本的に解消したい、猫背改善のためのアドバイスが欲しいという方は、ぜひ一度ご相談ください。
鍼灸治療、整体施術は、一人一人の症状に合わせた施術が可能です。
是非一度ご相談ください。
また、自身のダンス経験と、西洋医学、東洋医学、スポーツ科学などの視点から、多くのダンス・舞台関係の方々の施術を行なっています。
もちろん、ダンス関係のみではなく、会社員の方々、様々なスポーツをされている方の施術も現在行っております。
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